第壱話 機神、覚醒(めざ)める

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《welcome to sendai city》 キューブ型のガイドロボットが仙台駅周辺にて人々に観光チラシを自らの機体からプリントアウトし人々に配っている。 全員に配っている訳ではなく、顔認証プログラムを用いて市のデータベースに登録された市民を除いた県外や国外から仕事で来仙した人物や観光客に配られる仕組みだ。 チラシにはその時期のイベントやグルメ情報、観光スポット等が記載されている。 瞬一は仙台市青葉区、駅前通りに到着した。 一旦シティバイクから降りて、手で押しながら周囲を見渡す。 「仙台も随分ビルが増えたなぁ・・・俺が子供の頃はあんな高いビル無かったんだけど」 天を仰ぎながら瞬一は歩いていた。 その時。 「うおっ!?」 「きゃっ!」 一瞬、瞬一の体が軽く後ろにくいっと引っ張られた。 その刹那、後ろを振り向くと見知らぬ女子が同じタイミングで瞬一の方を振り向き、目が合う。 瞬一は時間が止まった様な感覚を覚えた。街の雑踏も空を流れる雲さえも止まってしまう。 美しく整った清楚な顔付きと背中まで伸びた濡れ羽色の黒髪、そして大きく心の底まで見透かされそうなアメジストの様な瞳。 「・・・・・・」 瞬一は彼女の美しさに見蕩れ、言葉を失っていた。 「あ、あの・・・」 彼女が声を出した途端、瞬一の中の世界の時間が再び動き出した。街の雑踏も雲の流れも元に戻る。 「は、ひゃい!?」 瞬一は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。 「ストラップが・・・」 「え?」 見ると瞬一が手に持っているスマートフォンに付けていたご当地キャラ『むすび丸』のストラップと彼女のバッグに付けていた星を模したアクセサリーが絡まってしまっていたのだ。
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