第壱話 機神、覚醒(めざ)める

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「ああっ!す、すみません!」 ガシャン 瞬一のシティバイクが倒れた。 瞬一は慌てふためきながら絡まったストラップとアクセサリーを解こうとする。 が、若干パニックになっているせいで上手く解けない。 「ふふっ」 「えっ?」 彼女が口元を手で隠しながら鈴を転がした様な声で笑い、瞬一は腑抜けたような声を上げて見上げる。 「可愛いですよね『むすび丸』」 「そ、そうですね」 まだ解けない。そうしている間にも瞬一と彼女は密着している状態であり、えもいわれぬ甘い香りが瞬一の鼻腔をくすぐる。それが鼓動に拍車をかける。 カチャ ようやくストラップとアクセサリーが解けた。 「す、すいませんでした。俺の不注意で・・・」 「いいえ。気にしないでください」 彼女が微笑む。彼女はあらゆる挙動が美しかった。まるで別世界の存在というのだろうか。瞬一は生まれてこの方こんな異性と出逢った事はなかった。 すぐに瞬一は自覚した。『自分はこの女性に恋をした』のだと。それも俗にいう『一目惚れ』というものだと。 「では・・・」 「あ、はい!」 軽く会釈をして彼女は瞬一の元から去る。瞬一は倒れたシティバイクをそのままに惚けた顔で立ち尽くしていた。 《何かお困りですか?》 「え?」 気付くと市のガイドロボットが瞬一の元に来ていた。シティバイクを倒したまま人通りの中で突っ立っていたのでそれを見付けてやって来たのだろう。 ガイドロボットのカメラアイが瞬一の顔を認識、データベースにアクセスし、登録された市民かどうかを認証する。
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