嵌められた男と女。

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~私が佐伯部長こと佐伯 健司と所謂、不倫関係になったのは3年前のことだ。 その頃、私は秋の新作の案を出してみないかと初めて佐伯部長から声をかけてもらい、毎日のように終電間近まで事務所でデッサンをしていた。 『なかなか上手くいかないな…』 『がむしゃらにやったって、アイデアは浮かんでくるもんじゃねぇよ。』 事務所には私しかいないと思っていたのに背後からの声にビクッと身体が強張った。 『なんだよっ、俺は幽霊か?(笑)』 振り返るとそこには佐伯部長が苦笑いしながら立っていた。 『部長~驚かせないでくださいよ。』 実は幽霊などの類いが苦手な私は安堵のため息を吐いた。 『おまえが勝手に驚いたんだろっ。はいっはい、今日はもうおしまい!送っていってやる。帰る用意してこい。』 部長に言われて壁の時計を見ると、とっくに終電の時間を過ぎていた。 『嘘っ!?全然気づかなかった~!送っていただいても良いんですかっ?急いで用意しますっ!』 タクシーで帰る料金メーターの金額を想像すると、慌てて帰り支度をして、部長の待つ地下駐車場に急いだ。
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