嵌められた男と女。

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大樹の呼びかけに、さっきの甘ったるい声の女ともう一人、挙動不審な女が入ってくる。 「みかりん」と呼ばれる女は大樹の例の彼女なんだろう。大樹の横に座り、早くもイチャイチャし出した。 もう一人の女は俺と同様嵌められたのだろう…信じられないって顔をして立ち尽くしている。少し哀れに思い、軽く会釈をした。 女は俺に会釈を返すと横の空いているスペースに座った。 大樹の軽~い自己紹介が始まり、隣の女が「倉田茉莉」という名前で同じ年齢であることが分かった。 だからと言って特に話し掛けることもなく、俺は一人飲みを楽しむことにした。…隣から幾度となく、ため息が聞こえてくる気がするが、俺には関係ない。 * * * 前にはイチャつく二人。隣には俺。限界だったのだろうー軽くテーブルを両手で叩き、立ち上がり大樹の彼女をトイレに連れ去っていった。 ーその必死な姿が可笑しく少し顔が緩みそうになるのを我慢して大樹を睨みつけた。
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