93人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
『おいっもう止めておけよ。』
気づいたら口を出していた。
いつもならどんな女がどんな状態でも気にもならないのにー。
(…こいつが余りにも無茶な飲み方をするからだっ!)
颯太郎は自分自身に戸惑い、誰に聞かす訳でもなく、自分に言い訳をした。
そんな様子を大樹と美香が顔を見合せ、意味深な笑みを浮かべていた。
茉莉は聞き入れる様子もなく相変わらずの状態だ。
これ以上はまずいと感じ、時間も遅いなどと適当な理由をつけ、嫌がる茉莉を引っ張り店を出た。
後ろを振り返ると意外にも大樹も美香もしっかりとした足取りだ。
まさに千鳥足の茉莉を美香に預けようとすると
『じゃあ、俺たちは帰るから、茉莉ちゃんよろしくね~っ!』
大樹と美香が手を振りながら、仲良く手を繋ぎ、夜も深まった街へ消えていった。
呆気にとられ、立ち尽くす颯太郎。
『はっ!?冗談じゃねーよっ!ちょっと待てよっ!!』
颯太郎の叫びは虚しく、すでに二人には届かなかったー。
最初のコメントを投稿しよう!