嵌められた男と女。

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『おいっもう止めておけよ。』 気づいたら口を出していた。 いつもならどんな女がどんな状態でも気にもならないのにー。 (…こいつが余りにも無茶な飲み方をするからだっ!) 颯太郎は自分自身に戸惑い、誰に聞かす訳でもなく、自分に言い訳をした。 そんな様子を大樹と美香が顔を見合せ、意味深な笑みを浮かべていた。 茉莉は聞き入れる様子もなく相変わらずの状態だ。 これ以上はまずいと感じ、時間も遅いなどと適当な理由をつけ、嫌がる茉莉を引っ張り店を出た。 後ろを振り返ると意外にも大樹も美香もしっかりとした足取りだ。 まさに千鳥足の茉莉を美香に預けようとすると 『じゃあ、俺たちは帰るから、茉莉ちゃんよろしくね~っ!』 大樹と美香が手を振りながら、仲良く手を繋ぎ、夜も深まった街へ消えていった。 呆気にとられ、立ち尽くす颯太郎。 『はっ!?冗談じゃねーよっ!ちょっと待てよっ!!』 颯太郎の叫びは虚しく、すでに二人には届かなかったー。
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