嵌められた男と女。

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『茉莉ちゃん、今日暇でしょ~』 自信たっぷりに首を傾げながら聞く美香に慌てて首を振った。 『い、いやぁ…忙しいかなぁ。』 『…コンビニ寄って、缶ビールとポテチとジャーキーかじりながら録画してた韓流ドラマをタオル片手に観るのに??』 『!?な、なんで…!』 そうなのだ。 日々、仕事に追われる私の唯一の楽しみといえば、韓流の王道すぎるラブストーリーを 大好きな缶ビールと共に周りを気にすることなく大号泣しながら観ることだ。 『茉莉ちゃんのことなんてお見通しだよ。だいたい、せっかくの金曜日!しかも定時で帰れるなんて~こんな素敵な週末の夜にそれはないわぁ。そうでしょ!?』 『…ま、まぁ ごもっともです。』 『ねっ!そんな週末に一人暮らしの部屋で寂しく飲むんじゃなくて、美香と一緒にわいわい楽しく飲もう!』 ねっ!と可愛らしく人差し指を立てながらウインクして断言する姿にまた悩殺される男性社員たちを横目に見ながら断る道は残されていないことを悟った。
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