tale 1. 黒渕メガネの先輩

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◇◇◇◇ 私が“彼女”の小説を読むようになったきっかけは、とても些細なことだった。 中学三年生になり、本屋に立ち寄った際に入り口付近で高く積まれた文庫本と“オススメ”とゴシック体で印刷された看板。 吸い寄せられるようにその文庫本を手に取ると、《月井明》と作者名が書いてあった。 私の名前は山本明(やまもと あかり) それまでは漫画ばかりで、活字を読むことはほとんどなかった。 だけど、ちょっとした共通点から読み始めて、驚くほどのめり込んでいくこととなった。 女性目線で描かれる高校生の甘酸っぱい青春から、ほろ苦い大人の恋まで。 読者からの共感の声もあがり、主人公に自分を重ねることでリアルな心情を文体で感じることが出来る。 私は生まれて初めてファンレターというものを書いた。
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