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バヤとは、小学2~3年生の頃の連れである。カムイに輪を掛けてお調子者だ。
色白で、北の国からの純の小さいときに、そっくりな奴だ。
カムイは保育園のときに住んでたところから、ド河内に移り住んでいた。距離的には、それほど離れてなく近いものだが、ぐっと濃厚になる。こてこての脂っこい土地だ。カムイは今振り返って、そう思った。
そこで生活していたときは、そんなことを考えたこともなかった。
小学生低学年の世界は狭い。住んでいる周辺が世界そのものであると思っていた。
TVは特別なもので、どこも自分が住んでるところと同じものだと思っていた。深く考えたこともなかった。
小学校には、大きなプールと冷暖房が完備された、当時としては近代的な建物で、体育館も運動場も立派だった。
小学校のすぐ隣には、同和の青年会館があった。道徳の時間には、在日問題や同和問題を熱心に取り上げていた。当然、学区は複雑に入り乱れ、カムイの組には、在日や同和出身がいたが、そんなことは関係なかった。みな友達だった。
在日の金村(のちに、キムと改名)は、体はそれほど大きい方ではないが、力が滅法強く、実質番長だった。運動神経もよく、体育の時間は最も活躍する。
カムイは、キムの子分ではない。そこは要領よく、ある程度の距離を置いた友達だった。他の同じ組の友達と、なんら変わらない。
カムイの連れは、バヤのほかにミヤ(宮本)というのがいて、三人でよく遊んでいた。
ミヤという奴も、飄々とした男で、運動神経がいい。ミヤのエピソードはあるが、それはまた別の機会に。
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