天井裏

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僕はもちろん、一線を超える気はなかったのだ。ただの寝坊だ。携帯電話の履歴を見ると、着信がバンバン入っている。上司からだ。一気に気持ちが萎える。もう、午後2時だ。上司の怒り顔が浮かぶ。こんなに寝ていたなんて。今更会社に行っても、怒られるだけで仕事にならない。僕は携帯の電源を切った。 僕の転落人生がこうして始まった。翌日になっても僕は会社へ行かなかった。いや、行けなかった。 無断欠勤が続けば続く程、それに比例するように追い詰められ、出社できなくなった。 上司が訪ねてきた。ドンドンドンドン…扉を叩く音が脅迫じみて怖い。 「おーい!いないのか。警察に連絡するぞ。」上司の野太い声がアパート中に響き渡る。 僕はアパートの部屋の天井板を開けた。僕が借りているアパートは古い木造住宅だ。木目の入った天井板を開けると、そこには薄暗い天井裏の隠微な世界が広がっていた。
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