satan + cross so

借り物

くるりと鏡の前で軽く一回転しながら、上から順に全身を見回していく。

『ロト魔導学院』の、女子制服のアクセントである白のリボンに、黒を基調としたブレザー。

そして、そのブレザーと同系色の白のラインが入ったプリーツスカートと、膝上までを包む黒のニーハイソックスへと視線を巡らせるが……。

先ほどから幾度となく同じ作業を繰り返しているものの、見たところ、どこにもおかしなところは見受けられない。

この制服の着こなしについては何度も確認している通りで、更には身に付けている制服自体も、下ろしたばかりの、まだ真新しい物だ。

……やはり、杞憂だろうか？

だが、それにしては胸の内にわだかまるこの不安のような奇妙な感情は一向に拭(ぬぐ)えない。

それどころか、反対に、再確認を行うたびに焦慮(しょうりょ)のような、どこかもどかしい感情が心に蓄積していくようだ。

「…………」

しばらく、私は鏡の中の自分を見つめたまま、心の内に歯痒(はがゆ)いものを感じていたが、間もなく鏡に背を向けると、ようやく勉強机へと踵(きびす)を返した。

やがて鞄を手にした私は、玄関でローファーを履き、そして……。

一度だけ、制服の内ポケットにしまった物の存在を確認すると、いつものようにドアノブへと手を掛けた。