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僕は、人混みの中の騒音が苦手だ。
けれど、時々、その中に身を委ねたくなる。
学校からの帰り道、なんとなく降りた池袋。
僕はミュージックプレイヤーで音楽を聴きながら大通りに一歩を踏み出した。
小雨が降っていて、大気はいつもより湿っている。
平日の昼間、一般的には授業・勤務の時間であるというのに、そこは沢山の人で賑わっていた。
都市の空気は汚れている。
そのことを、僕はここに来た時にいつも思う。
乾燥して、埃っぽく、むせ返るような熱気のある空気。
そして、絶え間無い人の流れ。
人は群れることが好きだ。
だが、ここまでかと思わせるほどの力がこの場所にはある。
立ち止まってみても、人々は流れ続ける時間とともに僕を避けて歩き続ける。
取り残されたような、言いようのないような虚しさに襲われた僕は、人々のざわめきを掻き消すようにミュージックプレイヤーの音量を上げた。
大衆の中の一つの孤独
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