プロローグ

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日巫女が姿勢よく上座に座ると秋山は目の前にある茶を一口啜りゆっくりと話し始めた。 「日巫女様、実はアメリカ軍が我が一族と銀炎を探っております」 「 うむ、一族が戦地にて力を使ったのであろうから調べるのは分かるが、何故銀炎まで知っておる?」 「それは…………」と言い秋山は黙って俯いた。 秋山の隣に沈痛な表情を浮かべ座っていた男が小さく手を上げ 「日巫女様その事は私からお話し致します」 と言った。 「竹中か、話してみよ」 竹中と呼ばれた男は両手をきつく結び話し始めた。 「日本は先の大戦の熱に当てられ誰もが熱狂していました。無論我が一族も同じでした」 この大戦で一族の力を見せて大戦果を上げれば永きに渡る我が一族への迫害も消えるのではと考え、一族の若者を戦地に送りました そして多くの若者は戦地で命を散らし帰らぬ者がほとんどでした……」 そう竹中が告げると他の男達はより一層沈痛な顔色になり、その瞳には悔しさの光を宿し、大粒の涙を浮かべていた。
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