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その後、増援部隊も着き大佐の部隊は物量にものを言わせ日本軍を殲滅し辛くも勝利を手にした。
大佐は作戦成功に安堵し司令室でお気に入りの葉巻に火を点けて紫煙をくぐもらせていた。
その時
バババババッババッ!
パンッ、パン!
自動小銃の激しい音と拳銃の渇いた銃声が鳴り響き、兵士達の絶叫が指令室まで大音量で聞こえてきた。
「来たぞ!奴が来たー!」
「この化物がー!くたばれ!」
「奴は1人だー!撃て!撃ち殺せ!」
なんと、化物と呼ばれたその日本兵は単身で指令室付近にまで乗り込んで来たのだ。
しかも彼が携帯してた武器は日本刀一本だった。
すぐに若い士官が指令室のドアをノックもせずにバンッと音をたて荒々しく開けた。
「た、大佐!ここは危険です。あ、あれは人間じゃありません!直ぐに、直ぐに避難してください!」
若い士官は化物と呼ばれた日本兵を見たのか目を血走らせ大声で大佐に向かって叫んだ。
大佐は何事かと怪訝に思ったが、明らかに常軌を逸してる部下を落ち着かせる様に静かに語った。
「分かった、君のいう通りにしよう。しかしその前に状況を教えてくれないか」
しかし若い士官は落ち着く所か激しく狼狽え
「大佐!そんな悠長な事を言ってる暇はありません!化物がすぐそこまで来ているんです!」
と叫んだ。
開きっぱなしの指令室のドアから硝煙の臭いが充満してきて、銃声と兵士の絶叫が絶え間なく響いていた。
それは戦場が目の前まで迫って来ている事を明瞭に表していた。
若い士官は軍人として失格とも言える様な狼狽をまだ見せていた。
その様に大佐は苛立ちを感じていた。
しかしどこか通常の戦闘とは違う違和感を感じとった大佐は、これは自分の目で確認するしかないと思い椅子から立ち上がり外の戦場に向かい駆け出した。
「大佐!待ってください!危険です!」
外に出て戦場を確認した大佐はただ唖然とした。
大佐の目前で行われていた光景は、武装した兵士を素手で次々に薙ぎ倒し血飛沫を上げている、人成らざる者の殺戮が展開されていた。
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