プロローグ

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若い士官は呆然と人外の殺戮を見つめる私に「危険です大佐!!下がってください!」と叫んだ。 その叫びをぴくっと聞いて人外が動きを止め、そして私の方にゆっくりと身体を回した。 「カーネル?そうか、お前が親分かい」 その日本兵が日本語で何か呟くと、次の瞬間 「うおおぉぉぉぉおー!覚悟せい!」 と人外は下腹にびりびり響く獣の様な雄叫びをあげて私に真っ直ぐ突っ込んできた。 私の回りにいた兵士達は人外の姿に恐怖し混乱の極みに達していた。 「うわーっ!こっちに来たぞ!」 混乱した兵士は前方にまだ味方の兵士がいるにも関わらず銃を乱射し始めた。 見方に後から撃たれ数人の兵士が倒れた。 人外は、その倒れた兵士の頭を片手で掴み、自分の頭の高さまで持ち上げ盾にした。 盾にされた兵士は、見方に正面からまともに銃弾を浴びせられ、ビクッビクッと痙攣していた。 「やめろーー!撃つな!ジョージにあたる!」 「ダメだーー!撃てーー!ジョージは手遅れだ!撃て、撃てー!」 見方を盾にされ、幾ら撃っても倒れない人外の突撃に混乱し恐怖していた。 その時に一人の兵士が手榴弾を人外の前に投げた。 人外は兵士を盾にしている為、視界が狭まったのか簡単に手榴弾を自分の足元への侵入を許した。 直接、手榴弾は爆発し激しい閃光が人外を包んだ。 誰もが、やった!と思ったのも束の間、爆心地には人外の死体は無く、盾にされた兵士だけが転がっていた。 何と、人外は爆発の直後に真上に飛び上がって難を逃れていた。 しかも、有ろう事か高さで言うと5メートル位の所を左肩に日本刀を担いで舞っていた。 兵士の誰もが上空を舞っている人外の姿に驚愕し声を失い、ただ唖然と見上げていた。 しかし、着地した人外の姿に兵士達は戸惑っていた。 人外は爆発の衝撃で左足を失っていたのだ。 人外は自分の失った左足を見て 「何や、足が無いんかい…ここまでやな…敵は取れんやった……みんなすまん、先に逝くわ」 そう、何やら日本語で呟いた。 刹那、呆気に獲られていた我が兵を余所に人外はノコギリの様になった日本刀を自分の喉に突き刺し自害した。
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