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話しながら2件目の飲み屋を探していた。その途中で、古びたCDショップを見つけて、私はなんとなくその店に入った。店内に入って、正面のコーナーには、お勧め中古CDのコーナーが、すぐ後ろにはCDデッキやMDデッキ、ラジオが並べられていて、その奥のコーナーには、初心者向けの楽器入門セットのコーナーが並べられていた。
「入門セットで3万円か~。美緒李はどう思う?」
隣に美緒李がいると思って話しかけたら、そこには店員らしき男性が立っていた。
「そちらの入門セットの楽器はプロ仕様です。それで3万円は大特価です。お買い上げですか?」
いきなりそんなことを言われても困る。
「すいません、見ていただけなんです。失礼しました。」
私は、イライラしながら店を出た。
「あの人の言ってる事って信じれないよね。幸せな事なんて、そう簡単に起きるわけないよ」
そう、起こるわけがない。
「早く次の店に行こう。気分悪い」
私達は、足早に2件目の飲み屋を探した。
適当な店を見つけると、そこに入った。
しかし、それが私にだけではなく、夏樹にも{幸せなこと}が起こるきっかけになるなんて、その時の私は、思っていなかった。
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