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突然ガラっと目の前の扉が開いて、出てきた奴が俺の胸にぶつかる。
「笹島・・?」
中で喋ってたのは笹島らしい。
なんで?
「あ、友達思いのない奴登場」
「なんだよ、ソレ」
「じゃ、尾長またね」
俺の事は完全スルーして理雄に挨拶して笹島が病室を後にした。
「入らないの?」
理雄に声をかけられて、入り口で立ちすくしてた俺は一歩中に入った。
腕と額に包帯が巻かれていた。
おずおずと足を進め、理雄の横に立つ。
「座ったら?」
理雄に言われてベッドの横にある椅子に座る。
「どうだった?」
「え?」
「自転車、一人で行ってきたんだろ?」
「あ、うん。
なんで?」
「おばさんが一昨日来て、自転車乗って行ったって怒ってたから」
「あ、うん。めちゃくちゃ怒られた・・・こんな時にって・・・」
「こんな時だから行ったんだろ?」
「え・・・なんで・・・」
「なんでって・・・昴ならそうするだろうなって思ったから」
笑ったせいかツっと声を小さく上げて腕を押える。
「痛むか?」
「あ~~ちょっと。
でも、腕と頭だけであとは何もなかったから」
「そっか・・・あの・・・」
俺のせいで?
なんて聞けるわけない。
「昴、喉渇かないか?」
「あ、うん。ちょっと」
「自販機行かね?」
「俺買ってくるよ」
「ずっと寝てるから動きたいんだよ」
「・・そっか・・」
ぎこちない会話がきっと嫌なんだろうな。
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