第一章 そのきっかけ

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※※※※※  2月上旬。  PM9:23。  郊外のビルにてーー  妖しい月明りに照らされた会議室に、夜の静けさを破る音が響く。  それと同時に殺意を孕んだ銃弾が体の横を通り抜けていった。  俺は長机の角に身を潜めてやり過ごす。  使っているのはどうやら、SIG SAUER(シグ ・ザウエル )P230ーーつまり日本警察の装備品である。弾数は9発。  要するに、この企業はどこか良くない面で警察と繋がっている可能性がある。  限りなく黒に近いだろうが……。どうせシラをきられるのはわかっている。   つくづく腐ったものだ。  銃声を数え、残りの弾が3発になったときに俺は物陰から飛び出した。  その男との距離は20m程。    アレを使うまでもない。  いきなり飛び出した真っ黒な服装の俺に、焦った様子の相手。照準が狂ったのか、弾丸は大きく外れる。  その間に相手との距離を大きく詰めた。  「くそっ」  悪態をつきながら男は再び発砲した。  そこで俺は斜め右に走り抜け、近付きながら残り2発の銃弾を躱した。  躱されたそれは窓ガラスを壊し、甲高い音が耳を刺激する。
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