第一章 そのきっかけ

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 俺は頭の中に特徴を叩き込み、脳内検索を始めた。  そして、警戒心を緩めないまま俺は男に近づく。  男は電話を切り、腕組みをして問いかけてきた。  「侵入者というのは……お前のことか?」  低めの声。かなりの威圧感だな。  「そうなのかな?」  それに比べて、未だに高い声の俺。羨ましい。  「……そうか。まさかと思うが悪戯にこのビルに入ったのか?」  「さぁ? どうだろ?」  この男……何か見覚えあるな。何だっけ?  「それで、目的はなん」  「一方的に質問ばっかしてさ、答えると思ってる?」  とりあえず相手のペースにはさせない。  男は口の端に笑みを浮かべた。  「それもそうだな。質問を聞こうか」  話の通じる奴で良かった。いきなり戦闘になったらどうしようかと。  「名前は?」  名前を聞けば思い出せそうだ。  「……山田太郎」  前言撤回。全然話の通じない奴だ。  「ふざけてるのか?」  「そもそも名前を聞いてどうする?どうせお前は、ここで朽ち果てるのだから」  そう言って、男は右手を前に上げる。  その瞬間、俺の右側でいきなり爆発が起こった。
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