0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は頭の中に特徴を叩き込み、脳内検索を始めた。
そして、警戒心を緩めないまま俺は男に近づく。
男は電話を切り、腕組みをして問いかけてきた。
「侵入者というのは……お前のことか?」
低めの声。かなりの威圧感だな。
「そうなのかな?」
それに比べて、未だに高い声の俺。羨ましい。
「……そうか。まさかと思うが悪戯にこのビルに入ったのか?」
「さぁ? どうだろ?」
この男……何か見覚えあるな。何だっけ?
「それで、目的はなん」
「一方的に質問ばっかしてさ、答えると思ってる?」
とりあえず相手のペースにはさせない。
男は口の端に笑みを浮かべた。
「それもそうだな。質問を聞こうか」
話の通じる奴で良かった。いきなり戦闘になったらどうしようかと。
「名前は?」
名前を聞けば思い出せそうだ。
「……山田太郎」
前言撤回。全然話の通じない奴だ。
「ふざけてるのか?」
「そもそも名前を聞いてどうする?どうせお前は、ここで朽ち果てるのだから」
そう言って、男は右手を前に上げる。
その瞬間、俺の右側でいきなり爆発が起こった。
最初のコメントを投稿しよう!