なんてことはない俺たちの日常

2/6
前へ
/8ページ
次へ
キーンコーンカーンコーン テスト終了を告げるチャイムが鳴り響き、俺はペンを置いた。 終わった。今回も無事に赤点ギリギリ回避できた……はず。 回答用紙を前に送り、家に帰るためカバンの中身を整理する。 「おーい、神田ぁ。ペンと消しゴム持ってこーい」 誰かなんか言ってるけど無視無視。トイレ行ってこよう。 席を立ち、教室の後ろのドアに手をかける。すると、教卓の後ろに立っていた先生が近づいてくる。 身長182cmもある先生が近づいて来ると軽く見上げてしまう。 「おい神田。どこ行くんだ?」 「え?トイレですけど……行っちゃいけないんですか?」 やべ、軽く漏れそう。こんなところで先生に絡まれてる暇なんか無いのに。 「先生、ちょっともう漏れそうなんでトイレ行きたいんです。邪魔しないでください」 先生はため息をついた。 「漏れそうなのか……まあ行ってもいいけどその前に出席番号書き間違えてるぞ。直してから行って来い」 「へーい」 直せばいいんだろ直せば。 トイレに行きたいってのに…… 教卓の真ん前に座っている小鳥遊からシャーペンを借り番号を直す。 1年5組13番神田春馬っと。 「じゃ、直したんで行ってきます」 そう言って俺は教室を後にした。 ーチリリン どこかで風鈴の音がした。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加