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「なんか帝国に不穏な動きがあるらしいからな」
「不穏な動き?」
食べる手を止めずにサラッとそう言うと、多少は食いついてきた。この辺はやはり軍人とでも言うべきか。
「ああ。なんでも新しい兵器を開発してるって噂だよ」
「兵器か……魔法にばっか頼ってる私達は大丈夫なのかなぁ」
「兵器って言ったって、どうせまた魔導機関だろ?こっちの兵をしっかり養成すれば問題ないだろう」
皿に残ったパスタを全て巻き取り、それを口いっぱいに頬張りもごもごしながら返す。
「まぁ、そういう暗いこと考えるのはやめにしようぜ。ごちそうさま、今日もうまかったよ」
ユナの不安を和らげるように言葉をかけ、両手を合わせて食事が終わったことを示す。
こういうときの皿洗いは大抵俺がやるので、ユナが食べ終わるのを待つ。
すると、軍服の胸ポケットから携帯端末への着信音が聞こえる。
椅子の背もたれにかけた上着から端末を取り出し、内容を確認する。
着信したのはメールで、どうやら軍の業務連絡のようだ。
内容は次の諜報任務について。明日の9時に城のブリーフィングルームCに来いとの事だ。
ちなみに、エデンの城は、城とは言うものの巨大な軍拠点だ。もちろん、王族の住居でもあるものの、半分くらいを軍に頂いている。
「……ん?」
メールを読み進めて行くと、最後にメンバーの追加の事が書いてあった。
「ユナ、端末見てみな」
「え?」
俺の突然の呼び掛けに、水を飲もうとしていた手を止めてグラスが口の前で停止する。
「この任務のメンバーに新たにユナ・メイリィ准尉を追加する、だとさ」
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