予兆

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俺が端末を覗きこむと場所を指差して説明してくれる。 「こんなとこにあったのか……了解」 顎に指をあてて場所を確認すると、さっきまで座ってた椅子に再び腰をかける。 その後軽く雑談をして、ユナの部屋を出る。 次の日、朝目を醒まして時計を見ると、目覚ましの設定時刻よりも大分早かった。 昨日ユナにあんな事言ってたが、実は俺も結構緊張している。 まわりはみんなベテランの兵士ばっか。俺でさえまだ階級の差がでかい。というか昇格したばっかだから気持ちはユナと同じ准尉だ。 とりあえず朝食を素早くとり、歯磨きや顔洗いなどを済ませて着替える。 ここまでで、大分時間が空いている。 なので俺は近くの棚に置いてあった本を手にとりベッドに座る。 これは俺のお気に入りの詩集で、何回見ても楽しめるし心を落ち着けられる。緊張している今には丁度いいものだ。普段も心を落ち着けたい時などにはよく読む。 心が安らいできたところで時計を見てみると、いい感じの時間になっていた。 そろそろ家を出ようと、最終的な細かい準備をして家を出る。 行く途中でユナにも声をかけてみる。と、準備は万端だったようですぐに出てきた。 いつもの軍服姿で腰にレイピアを差した彼女は、普段着の時よりも幾分凛々しく見える。 軍服を着て歩いていると、普段よりも人に声をかけられる事が多い。この国の人々は「軍人には国を守ってもらっている」という意識が強いらしく、挨拶を交わすことが多い。 俺の住んでいた地域は「国の言葉一つで人を殺す殺人兵器」といったイメージで固められていたので、都会に来て軍人になった当初は戸惑いが強かった。 少し歩くと見慣れた巨大な城が目の前に現れる。いや、正確に言うとその巨大さ故家を出た時には既に見えていたわけだが。 服装で軍人であることを確認した門番が門を開ける。顔見知りでない場合はしっかり証明書の提出を求められるが、それにしても仮にも国のトップが住まう城なのだからこのセキュリティの薄さはどうにかした方がいいと思うのだが。
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