序章

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魔導ガンから放たれる弾は、通常の弾丸より幾分弾速が遅い。 それは、発射を確認してからでも容易に避けられるレベルだ。 加えて、俺には'眼'がある。 俺は、生まれつき右目が周りと比べて格段にいい。 目がいい、といっても、視力は両目共に平均より少しいいくらい。 目がいい、と言うのはすなわち、動体視力の事。 右目だけの動体視力が優れており、そこに補助魔法をかける事でさらにその精度を増す。俺はその状態の右目を'眼'と読んでいる。 敵の二人が俺に標準を定めて魔導ガンを乱射してくる。 流石に二人でこの量を撃たれるとなかなか前進できない。 それでも避けながら距離をつめていってついに一人の懐に飛び込む事が出来た。 遠距離武器を扱う相手にとって剣士に懐に潜り込まれることは、それはすなわち死を意味する。 為す術の無くなった敵は容赦なく向けられる刃をモロに喰らい倒れる。 直ぐ様後ろに振り向くと既にさっきの敵が引き金を引こうとしていた。 少し構えをとり万全の体勢でいると、敵が慌てて引き金を引く。それをさっきの様に難なく避けようとする……が、放たれた弾丸は先程よりも早く飛んでくる。慌てて首を傾けて避け、弾丸が頬を掠める。 「っ……ぶねぇ……!」 飛んできたのはごく一般的な鉛の弾丸。 コイツ……魔導ガンじゃなくて普通のハンドガンだ! 通常、戦場では鉛の弾丸が使われる事はほぼない。 それは、戦場では大抵後衛に防御魔法を使う魔導士がいるが、その防御魔法は鉛の弾丸ではまったく太刀打ち出来ないのだ。 魔力で作られた物は魔力しか相殺できない。 しかし、今は俺と大佐だけで、俺も大佐も防御魔法は使えない。 ハンドガンの弾なんて、'眼'が無い限り遮蔽物がないと防げやしない。
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