序章

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つまり、どういう事かというと……… 「やべぇ、どうしよ……」 とりあえず近付いてみるが、実弾を使う奴はもうひとりいるらしく、二人から高速の弾丸が放たれているため避けるので精一杯だ。 「しょうがねぇ……いけ!ビットソード!」 左手で腰のポケットから、長さ15cm程度の金属製の棒を4本取り出し、前方に投げ飛ばす。 今飛ばしたのはビットソード。ソードとは名ばかりで刃は無く、実際は先端が尖っている針だ。 相手と俺との距離は2、30メートル程度。投擲で届くような距離ではない。 しかし、このビットソードはただの投擲武器ではなく、遠隔操作で浮遊し、ビットに込められた魔力が尽きるまで活動を続ける。 しかし、操作は契約者の脳で行うので使うには慣れが必要で、また脳に負担がかかるため一度に多数の使用は出来ない。 敵の発砲を避けながらビットで敵の攻撃を妨害して敵に接近し、一人の腕にビットを突き刺したのをチャンスとして一気に近付く。 やはり銃を扱う相手は近距離まで近付く事でほぼ無力化できる。 そのまま相手を斬り抜けて実弾を使う敵に再びビットを飛ばして自分も向かう。 "眼"を駆使して敵から放たれる銃弾を的確にかわす。数が減ってる上にビットの妨害もあるため先程よりも容易に近付ける。 「もらったぁ!」 そのまま剣で敵の胸を貫く。心臓を貫かれた帝国兵は何も言えずに倒れる。 「っ!ユウキ!」 「はい?……っ!」 大佐の声が聞こえた直後、胸に強烈な熱と痛みを感じる。どうやら魔導ガンで胸を撃ち抜かれたようだ。 確認すると同時に視界が歪み広大な荒野だった景色が無機質な鉄で囲まれた部屋へと変化する。 貫かれた胸は元に戻っているが、先程の余韻で倒れ込み膝を付きながら激しく咳き込む。 「ほーら、言わんこっちゃない。こんなシュミレーションで死んでるようじゃ少尉なんてやってらんないわよ?」 隣に立っている大佐が呆れながら声をかけてくる。 少尉に昇格したと途端、急にシュミレーションの難易度が上がったな…… ユウキ・マツシマ、昇格後初めてのシュミレーション訓練だった。
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