予兆

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自分の部屋には帰らず、そのままユナの部屋に直行する。 ユナは料理をするのでキッチンに、俺は腰の剣を床に置いてテーブルの前の椅子に腰をかける。 ちなみに、俺とユナが軍に入ったのは15の時だ。なので知り合ってからはまだ2年目だが、結構な時間つるんでるので関係はそれ以上だ。 と言っても、別に恋愛感情は持ってないのだが。 何かを炒めるいい音と匂いが部屋を包む。もっと腹減ってきた。 腹の虫が自分の存在を主張している。もうだめだ待ちきれない。 などと考えていると料理が運ばれてくる。ベストタイミングだ。 出されたのは丸く綺麗に盛り付けられたペペロンチーノ。ところどころにちりばめられた鷹の爪が皿の上を鮮やかにしている。味にも見た目にもスパイスを加えられるとは、恐るべし鷹の爪。 ちなみに、俺が買ってきた食材にパスタは含まれていない。 俺はいつも適当に食材を買ってきて彼女に渡してる。これは食事の材料というよりは代金に近い。 なので、買ってきた食材の大半は彼女の冷蔵庫の肥やしになって彼女のための食材となる。 なるべく買ってきた物を使って作るようにはしてるらしいが、俺の買ってくる物には毎回一貫性が無いためなかなか難しいらしい。 「それじゃ、お疲れ!」 「ん、いただきます」 正方形のテーブルの向かい側に座り改めて俺に労りの言葉をかけるユナに、軽い返事をして早速料理に手をつける。 「次の仕事って諜報任務だっけ?」 「そうだよ。俺の性に合わない仕事だけど、やるしかないね。」 今日もおいしい、と自分の料理の評価を呟き、問いかけてくるユナ。 それに対してスライスレモンの入った水を片手に持ちながら答える。ユナの食卓はいちいちオシャレなのが特徴だ。
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