17

3/13
1143人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
――友達に戻れると思った事が、どれだけ都合の良い  思い込みだったか  目に映る百合の顔、振り上げられた手 「……っ!」  頬に訪れた激痛で、――思い知らされる。 「なんでアンタの実家に、神崎さん達が来るのよ!」 「……っ」  百合の大きな声に、身体がビクッと跳ねた。 「つ、ついてき……」 「そんな訳ないでしょ? 私が知らない事なんてない。 ――アンタの居場所位、探す事なんて簡単よ。  来てみたら、神崎さん達が居るじゃない?  どういう事よっ!」  私の言葉を遮って、百合はそう言った。  その瞬間、背筋に冷たいモノが走って身震い。 「なんで、――アンタなのよっ!!!」 「――!」  そう言いながら百合が近づいてきて、2度目の激痛が頬に走ると同時に  私はアスファルトへ崩れた。 ――なんで……  なんでって……、私だって知らない。  私を婚約者だと言ったのだって、1緒に住んだのだって、待てばいいって  言ったのだって ――私の前に現れたのも 「知らないよっ!!!」 「――!? ……なんなのよっ!!!」 「…………」  気づけば私は叫んでた。百合を睨み上げながら。  百合は目を見開いて、みるみるうちにまた怒りに溢れた表情に変わって、そう言いながら私の髪を引っ張り上げる。  痛いのに泣きたいのに、声も出なければ涙さえも出て来ない ――もう、どうでもいい。  振り上げられた百合の手を見て、目を瞑った。
/466ページ

最初のコメントを投稿しよう!