クラスゲーム

呪い

少女は目を開ける暇もなく重心が後ろにかかることに全く抵抗できずにいた。腹部に受けた衝撃が体当たりされたのだと悟らせても、手元を押さえられ、どうにもできない。
そして、少女は背中に強烈な痛みを感じた。倒れている机で背中を強打したのだ。その拍子に思わず強く握っていた手元が緩んだ。庖丁は女の手に渡った。躊躇いはない。殺さなければ殺される。頭の奥底から発せられた防衛のシグナルが、女の手に持つ庖丁を少女の腹部へと突き刺した。
深く、より深く。
あらんばかりの力を込めて刃を体へ押し込む。少女は荒く息を吐きながら枝のような手で女の腕を握った。骨にただ皮膚が装飾されただけのような手から、とても発せられているとは考えられないほどの力がこもっている。憎悪に染まっていたあの瞳は大きく見開かれ、歯を食い縛りながらこの世のものとは思えない形相で女を睨み付けた。
「お前ら全員呪ってやる…！末代まで…呪ってやる!」
そう言い放つと、女の腕を握っていた力がふっと弱まった。絶命した少女の表情が、この世の未練を物語っていた。