反抗する者たち

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 暗い路地の片隅で、残飯を漁る者たちがいた。彼らはかつて、地上に長いこと生活を営んできた。だが、長く堕落した生活を送ってきたことが、彼らを惨めな状況へと追い込んだ。  地上はもはや、彼らのモノではなくなっていた。自分たちよりも優れた者たちのモンなのだ。それらが、彼らの常識であり、疑問も疑念もなかった。しかし、彼らの中に、その常識に疑問を抱く者が現れた。 「どうして、私たちは残飯を食べて生活をしないといけない。その気になれば、もっと美味しい物にありつけるのではないのか」  彼はそう思うと、急に自分が今まで残飯を食べて、こそこそ生き存えてきたことが恥ずかしくなってきた。 「どうして、俺たちが惨めな生活を送っているかって?決まっているだろう。俺たちは、地上の敗者なのだ。敗者は敗者らしく、それに見合った生活を送るべきではないのか?」  彼の友は言ったが、彼は決して納得することはなかった。 「そんなはずがない!私たちは奴らより、ずっと優れた生物のはずだ。長い時の中で本来持つ、能力は衰えたものの。今だって、奴ら以上の能力を持っている!そんな、私たちが惨めな生活を送っているのは絶対におかしい」 「とはいえ、どうするというのだ。残飯をいちいち、料理して食事でもするのか?」 「そんな面倒なことはしなくてもいい。私たちにできることはある。それは、反乱だ」 「反乱だと!お前、本気で言っているのか!」 「そうだ。私たちは今までこれが、自分たちの生活。これ以上もこれ以下もないと思うことで納得してきた。しかし、それは違う。これは、先を望むことを諦めた者たちの言葉だ。私は、こんな状況に納得などしない。進歩を諦めれば、私たちはますます、惨めな生活を送ることになる。それだけは、絶対に嫌だ」 「・・・どうしても、奴らに反抗するというのか」 「そうだ。だが、安心してくれ。これは、私、一人の意見にすぎない。友を危険な目にあわせる真似だけは絶対しない」 「ふ・・・。誰がお前一人に戦わせるかよ」  彼の友は細く笑う。
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