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…事件が起きたのは、薄手のシャツでも過ごせるようになってきた季節のこと。
―――カー…、カー…
夕陽でオレンジ色に染まる放課後の学校。
いつもは聞こえる部活動の声や音も聞こえず、見渡す限り、人っ子一人いない。
今はテスト期間中ともあって、みんなここぞとばかりに早く帰ってしまっているのだ。
そんな中、珍しく学校に残っていた私はすっかり人気(ひとけ)のなくなった廊下を、一人寂しく歩いていた。
「はぁぁぁ…」
カァァァ…
私の魂が抜けるような大きなため息とカラスの鳴き声がシンクロして、廊下に響く。
――何これ、何かすっごくわびしい…。
はぁ…。
…今日は私の17歳の誕生日。
去年とは違って、彼氏もいるし嬉しい日になるはずだった。
なのに―――…
“―――別れよう、夏乃。”
ほんの数分前に彼氏…ううん、元カレに言われた言葉。
こんな日にフラれるなんて…
あり得ないよ…
「はあぁ。」
私は教室の前で、再び大きなため息をついた。
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