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『フラれた』って言葉にした瞬間溢れ出したのは、“悲しい”、“寂しい”っていう感情だった。
「―――っ」
あ、ウソ…泣きそう…っ。
陸に顔を背けるようにして、ぐっと目をつぶって、涙が落ちないようにする。
…泣くな、私!
泣くな!
心を落ち着かせるように、ゆっくりと深呼吸をした。
落ち着きたい時はいつもこうする。
そうやって、負の気持ちを隠すのが癖になってる。
―――…こういう私をわかってくれるのは、彼だけだった。
ずかずかと私に関わってくる彼は最初はウザいだけの存在だったけど、私を理解してくれる彼のことをいつの間にかすごく好きになっていて。
何も言わなくても通じているみたいで、すごく幸せな日々だった。
でも、その幸せはもう戻らない…。
私はフラれたんだから。
「―――…」
フラれたというのに元カレの優しさを思い出してしまって、せっかく引っ込めた涙がじわりと再び顔を出す。
……ダメ、このままじゃ堂々巡りだ。
考えるの、やめよう。
ぷるぷると首を振って、ようやく私は目線を上げた。
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