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『キー、キー!』
「この子……あの時の?」
月城くんはまたコクリと頷く。
月城くんの掌には、あの時の雑鬼……月城くんに投げつけた雑鬼が乗っていた。
何だかぴょんぴょんと跳び跳ねて、何かを伝えようとしているようだ。
「いきなり投げるからびっくりした、ってよ」
「えと…」
そう言われると困ってしまう。
何せ悪いのは完全に私なのだ。
「ごめんね?」
私はウサギ座りのまま謝った。
すると、雑鬼は跳び跳ねるのを止めた。
『キー…キー!』
「分かったんなら良い、ってよ」
――ホッ…
許してもらえて良かった。
って……
「月城くん……雑鬼と話せるの?」
私がこう言うと、月城くんは少しキョトン、としたあとに苦笑して言った。
「まあ、何だ…俺は少し特殊でね」
―――特殊、か…
「まあ、依頼の方は少しだけ待ってくれ。今、こいつのを片付けてんだ」
こいつ?
この部屋に私以外の人がいるのだろうか?
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