壁に書かれたメッセージ

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「8つ目の七不思議、今は使われていない旧視聴覚室の怪…?」 ――何処の厨二病患者だろう? その時の私はこんなことを考えたんだったかな? まあ、それを最後まで読んだ私は、やっぱり、霊能力者としての自覚が有ったのかもしれない。 ………無いか。そんなこと。 少なくとも、この時の私には。 「旧視聴覚室のドアを2回ノックして、呪文を唱え、3回ノックして入ると願いが叶う……?」 なーんか有りがちだなぁ… でも、面白そうではあるかな。 幸い、旧視聴覚室はすぐそこだ。 もし、本当に叶うんなら霊能力を消してもらおう。 何てたって今の私は、藁にもすがりたい思いなのだ。 「さてと」 旧視聴覚室には本当にすぐついた。窓の外は、夕陽が輝いているが、独り暮らしの私には関係無い。 コンコン 2回ノックして… 「開け。異界の門よ。丑寅の門よ。我、願う。光と闇の狭間にて、我が願いを叶えたまえ」 そして、3回ノック。 コンコンコン 「ゴクリ…」 この時の私は、自分でも驚く程、緊張していたのを覚えている。 そう考えると、少しは信じていたって事なんだろうな。 ガラッ そして私は中に入って呆然とした。 「何にも無いじゃん…」 そう、何にも無かったのだ。 思わせ振りな描写をしてはいるが、全く持って普通の教室だった。 強いて言うならば少しカビ臭い。それだけ。 ―――イタズラだとは思ってたけど少しはショックだなぁ… 私は落胆を隠す事もなく、教室を出た。 ガラッ
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