壁に書かれたメッセージ

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廊下に出た私は呆然とした。 今度こそ、本当に目を見開き、口を閉じることもなく、驚いたのだ。 いや、そもそもここは廊下なのだろうか? 壁に飾られた怪しいアイテムの数々、少し黒がかった赤い壁、天井には無駄に豪華なシャンデリアがぶら下がり、部屋の奥には、黒い机と椅子が鎮座していた。 そして、その椅子には、一人の人物が机に頬杖をついて此方を見据えているのだった。 その人物は、黒の無地のTシャツに、青いジーパンというラフな格好で、どう見てもこの異様な部屋には不似合いだった。 「……ようこそ。光と闇の狭間、つまり、俺の事務所に。…天上院 聖さん?」 この部屋にいたのは、完璧野郎こと月城 黒翔、その人だった。
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