Scene.02:you kibble

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雨、過ぎ去った後。 道路には水溜まりが出来ていて それに反射する彼女の髪の毛には寝癖が映っていた。 「まっにあわーん!」 いつもの高校の通学路から少しそれた道を走る。 いわゆる、近道。 通学路のアスファルトには出来にくい水溜まりも 近道は残念ながら細い砂利道なので 水溜まりにとって好都合の条件。 はじけ散る泥水は靴や鞄にひそかに散っていた。 携帯を見る。 8時と25分。 あと5分で門は閉まる。 距離的には5分もあれば間に合う距離。 「あーぁあ!もぅ!」 細い砂利道を駆け抜け いつもの通学路へ出る。 全力で走る。 信号も誰も見ていなければ 赤信号でも〈気を付けて渡れ〉だ。 その時だった。 「ちょちょちょ、えーっ!?」 ない! 携帯がない! 右の内ポケットに入れていた携帯がない! 「最悪」 その後もちろん彼女が学校に遅刻したのは 言うまでもないこと。
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