Scene.01:minor touch

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「ほら、プールのさ、裏の扉あるじゃんか」 「なんのことだよ」 「とりあえず来いよ!面白いもん見たんだって」 話を聞くと どうやらプール裏の用具入れに入れる扉に よく人が往来しているらしい。 それってただ人が物を出し入れしてるだけなんじゃいのか? そう訊いても門屋は 『いや、違う。 こうなにか、ファンタジーを感じる』 の一点張り。 暑いし、蚊に咬まれてかゆいし 家から出たくないし、何より面倒だし ファンタジーも感じない雄太は一言 『無理』 と言ったのだが 帰りにご飯の奢りを約束されたので仕方なくついていくこにした。 だいたい門屋は昔からこうで、 やれ防空壕を見つけては 『感じるか?この中には何か幻想的な物を感じる』 やれ何か子供が描いたような公園の地面の落書きも 『これさ、何かのメッセージじゃね?』 とか、一般人とは思えない〈ずれた〉洞察力を持っていた。 だから今回のプール裏の件も 全く興味も沸かないし どうせ何も起こらないだろうとしか思っていない。 ご飯が食べれてラッキー! そんな気持ちしか抱いてなかった。    
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