0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「ほら、プールのさ、裏の扉あるじゃんか」
「なんのことだよ」
「とりあえず来いよ!面白いもん見たんだって」
話を聞くと
どうやらプール裏の用具入れに入れる扉に
よく人が往来しているらしい。
それってただ人が物を出し入れしてるだけなんじゃいのか?
そう訊いても門屋は
『いや、違う。
こうなにか、ファンタジーを感じる』
の一点張り。
暑いし、蚊に咬まれてかゆいし
家から出たくないし、何より面倒だし
ファンタジーも感じない雄太は一言
『無理』
と言ったのだが
帰りにご飯の奢りを約束されたので仕方なくついていくこにした。
だいたい門屋は昔からこうで、
やれ防空壕を見つけては
『感じるか?この中には何か幻想的な物を感じる』
やれ何か子供が描いたような公園の地面の落書きも
『これさ、何かのメッセージじゃね?』
とか、一般人とは思えない〈ずれた〉洞察力を持っていた。
だから今回のプール裏の件も
全く興味も沸かないし
どうせ何も起こらないだろうとしか思っていない。
ご飯が食べれてラッキー!
そんな気持ちしか抱いてなかった。
最初のコメントを投稿しよう!