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気が付くと蒼い生き物(ブギウギ)を潰した手が震えていた。
震えていると分かったのはローディアさんが、静かにその手をとったからだ。
ローディアさんは俺の手を温もりで包んでくれる。
精霊ウィキは急に静かになったのをいいことに、空気を読めないほど興奮して飛んでいた。
「凄いねエイジ、それ何?ブギーちゃんとっても綺麗な蒼い色してたの、あたしも欲しい!」
ほんとに空気を読まない精霊さんだ。
なんだか恥ずかしさがこみあげているとローディアさんは口を開いた。
「あなたは怪我をしている。とても、大きな傷よ」と言葉を紡ぐ。
「その治療にはとても時間がかかるの、だけど大丈夫。ゆっくりでいいから治していきましょう?」
最後にそういって化け物みたいな俺を抱きしめてくれた。
ローディアはまるで青草のような香りがして、どこか優しい気持ちが溢れてくる。
その溢れた気持ちは、涙となって俺の頬をつたった。
この瞬間、やっとエイジ・アンダーウッドは安堵する。
彼は誰も知らない
誰も彼を知らない
そんな黄昏の悪夢は過ぎ去って、ようやく青草香りたつの朝を迎えることができた。
そこには年老いた女性と煩い精霊がいる部屋だった。
エイジの傷ついた心はゆっくりと動き出す....
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