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男は雪の地面に蛇を押さえつけて、黒い瞳でそいつを見つめた。
「よう化け物、外の空気は美味しいか?
てめぇ俺の体に何かってに憑いてんだ、そんなに死肉を啜りてぇかよ?」
蒼い蛇は黒い煙を吐きながら悶える、それに目はなく透明の粘液が表面を覆いウネウネと苦しみ抵抗する。
男に自らの腰に右手まわすと、そこから短い片刃の刃物を取り出した。
それは見るからに鋭く爛々と夕日の光を反射していた。
次の瞬間、男の罵倒と共に刃物は蛇に突き立てられる。
ひと際暴れた不気味な蒼い蛇のような生き物は息の根を止められたように動かなくなり、地面まで貫かれた刃物を残して灰となって消えて行った。
男はそれを嘲笑うように肩を震わせると、雪の上に倒れてしまう。
傷口からは今も尚蒼い生き物が蠢いていて、きっとこれを見た者は化け物だと彼を罵るであろう。
暫くすると男の傷は跡形もなく癒えていた。
不気味な蒼い生き物も也を潜めて、辺りを静寂がつつみこむ。
正体不明の奇妙な生き物を携えた男に意識はなかった。
その濡れた体に、凍える夜が訪れる。
冬の大地は残酷で男の体力を奪い去っていった。
これらを見ていたあたしは、助けを求めに動いていた。
あたしは人間ではない。
小さな羽を羽ばたかせ、淡く光った玉のような姿のそれは.....
暗くなる世界を飛んで行った。
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