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男が目覚めると、目の前の綺麗な緑色をした光の玉が飛んでいた。
それには小さな羽がありキラキラと舞うように旋回すると、またどこかへと飛んでいく。
そこは木で作られた屋内で、暖かな暖炉と丸い窓が一つだけあり、見たこともない道具が机の上に並んで置かれていた。
男は古めかしいベットに寝かされ、すぐ脇には大量の書物が重ねられている。
天井からは様々な枯草や生き物の干物が吊るされていて、その薬品のような香りが鼻をついてくる。
「いったいここはどこだよ」と独りでに男は呟く。
体の節々がまだ痛むが、よく現状を理解しようと身を起こした。
すると、部屋の扉が開き奥から女性か現れた。
白髪を上品に纏め洒落た眼鏡をかけた女性だった。
足が悪いのか片側で杖をつき、ゆっくりとした足取りでこちらへ歩んでくる。
「アールヘイ?ユグトゥトオウガック.....」
彼女は知らない言葉をこちらに投げかけた。
そのしゃがれた声は、彼女の容姿に似つかわしくなく酷く年老いていた。
俺が返事に困っていると、彼女の後ろから緑色の光の玉が飛び出してきた。
それは目の前で停止すると信じられないことに言葉を発した。
「あなた、いったい何者? なぜ泉から急に出てきたの?」
俺は驚きすぎて言葉がでない。
空いた口が塞がらないとは、このことを言うのだろう。
「聴いてるの?ねぇその口は何、あたしを食べる気なの?」
その光の玉は次々と質問をぶつけ、俺は慌てて言葉を返すことになった。
「俺はエイジ・アンダーウッド、名前だ。分かるか?」
すると、光の玉は嬉しそうにクルクルと飛び回ると「エイジ・アンダーウッド」と何度も繰り返し復唱する。
あまりに煩いので「エイジでいいよ。」と言うと、次は「エイジ、エイジ。」と繰り返す。
それを見かねた女性が椅子をベットの傍に運ぶと俺の近くに腰掛けた。
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