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飛び回る光の玉をよそに、女性は再び語りかけた。
「エイジさん、わたしはローディア。そこを飛んでいるのは精霊と呼ばれるものよ。」
またまた驚いたことに、女性は日本語を喋っている。
「日本語がわかるんですか?ここはいったい....」
エイジは思わず浮かんだ疑問を返した、精霊とは何のことだか分からないが現状の理解が先だった。
それにローディアは答えてくれる。
「わたしには日本語がどこの言葉か分からない、会話ができるのは精霊の力よ。貴方が精霊と言葉を通わせたことで、わたしにも貴方の言葉が理解できている。そしてここは青霧の森にあるわたしの家よ、医者のようなことをしていて薬を造ったりしているの。」
そうして俺は、ここが異世界なのだと理解した。
ローディアの口からでる、国や人々の暮らしぶり精霊の話から、魔法や魔物の存在にいたるまで俺のいた日本には、元いた世界には存在しなかったものがでてくる。
俺の元いた世界が既に存在しないであろうことも.....
それは確かに滅びを迎えていた。
最後に見たあの大きな鷲(ワシ)の化け物や巨大な黒い蛇も、まるで現実の出来事であった。
あの状況で世界が無事だったとは言えない、人間の生きる環境などではなかった。
そして、この体に巣食う不気味な蒼い生き物。
俺はこの化け物が魔物なのかと、ローディアに聞いた。
「わたしは実際に見ていないけど、この子(妖精)は違うと言っているわ。あなたからは魔素のような特別な力をもった気配が全くしないの、それは普通の人間と同じなのよ。」
普通の人間という言葉に胸を締め付けられるような思いがした。
これが人間? いまでも確かに感じるのだ。
俺の内側で蠢く奴らの気配を......
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