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その日、 吉田のグラスを持つ指先が、 なぜだか色っぽく見えた。 『俺、彼女できそう』 なんて吉田がぼそっとつぶやいた言葉が 私の胸を揺らしたからかな。 私だって学生時代から付き合ってる『彼』がいて、 吉田はいい相談相手で、 悩みもさんざん聞いてもらってたのに。 愚痴を言う度に、吉田はいつも 「だったら別れろよ」 って。 その『別れろよ』を聞くたびに、 なんとかしようって、 仲直りしてたんだ……。 吉田に彼女ができようが、 そんなの私には、関係ないはずなのに。
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