238人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、
吉田のグラスを持つ指先が、
なぜだか色っぽく見えた。
『俺、彼女できそう』
なんて吉田がぼそっとつぶやいた言葉が
私の胸を揺らしたからかな。
私だって学生時代から付き合ってる『彼』がいて、
吉田はいい相談相手で、
悩みもさんざん聞いてもらってたのに。
愚痴を言う度に、吉田はいつも
「だったら別れろよ」
って。
その『別れろよ』を聞くたびに、
なんとかしようって、
仲直りしてたんだ……。
吉田に彼女ができようが、
そんなの私には、関係ないはずなのに。
最初のコメントを投稿しよう!