25人が本棚に入れています
本棚に追加
――――――――――――
我は、落ちている。
今、踏み出した崖の上から、落ちている。
人間が一番簡単に無になれる方法を、我は執った。
落下と共に、次第薄れ行く意識の中。
我の脳裏には姉の顔が浮かんでいたとおもう。
これで姉はあの家を追い出されずにすむ。
我の命など安いものだ。
これで、あの姉は、我のことなど気にせず幸せに―――――
『なれると思うか。』
突如として目の前に現れた、
民族衣装を身にまとった『もの』。
気がつけば、落下は止まり。
上も下もわからない空間に、我はいた。
最初のコメントを投稿しよう!