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「…ここ、は」
俺は、目を覚ました。ここは何処だ?三成は?…体が鉛の様に重い、もう何日も眠っていた様だった。
「大和…!!目を覚ましたんだな!」
「家康…?」
「ああ!良かった…!!」
家康に激しく抱きつかれる。…家康がいるということは、俺は大阪に戻って来たんだ、ね?辺りを見回すと、見慣れた景色。どうやら俺はここに生還することができたらしい。
「い、痛いよ家康」
「ワシがどれだけ心配したと思ってるんだ!これ位許してくれ」
「う、うん…」
そんなに心配してくれたのか。申し訳ないことをしたなぁ…て、あれ?
「三成!!三成は!?」
「…三成、なら」
「三成の怪我は!?大丈夫だった!?」
彼の姿が見えない。何処に行ってしまったというのか?…こんな時、一番側に居てくれる存在だったのに。
「三成君なら、自室に篭りっぱなしだよ」
「半兵衛様…」
「おはよう、大和君。具合はどうだい?」
「傷は少し痛みますが、お陰様で」
「ま、とんだ無茶をしてくれたからねぇ…」
半兵衛様は俺の横に腰を下ろして、頭を撫でてくれた。…ほんとに、子供扱いだなぁ。三成と家康にはそうでもないのにさ。
「今回の戦も、此方側に死者は無かったと聞いている。よく頑張ったね」
「…ありがとう、ございます」
「でも、肝心の君が斃れてしまっては意味がないんだよ。わかるね?」
「…すみません」
今回の戦は、最低の戦だった。味方に死者はでなかったけど…俺は、自分のせいで三成を傷付けた。
「君にとって、学ぶ事も多い戦だっただろう。これからの成長を期待しているよ」
「はい、ありがとうございます」
「うん。さて…後は三成君、だね」
…部屋に篭ってるって、言ってたな。そんなに大変な怪我だったんだろうか?とても、心配だ。
「俺、三成のとこに行って来ます!」
「おい大和…!!無茶はしない方が!」
「大丈夫!」
俺は三成の事を考えると居ても立っても居られなくなって、家康が止めるのを聞かずに走り出した。
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