一陣、豊臣

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テントに家康と二人きり。…そういえば、三成は見張りだっけ。寝ずの番なのかな、帰って来る気配はないけど…。 「家康、俺ちょっと三成を見てくる。明日から別行動だし…」 「…そうか。わかった」 少し名残惜しそうな表情をする家康、その顔に俺も少し後ろ髪を引かれたけど、ちょっとだけだからいいよね…。俺は立ち上がり、三成の元に向かった。 「三成!!」 「…大和か」 背筋をピンと伸ばして、ただ暗闇を睨んで見張りをしていた三成が俺の声を聞いて振り返る。 「奴と居たのではなかったのか」 「んー?まぁね」 お、三成ったら嫉妬かな?とか調子に乗りつつ、にやっとしたら睨まれた。三成ったら俺の考えてることよく解ってるなぁ…? 「明日から、もっと家康と居る事になるんだって伝えに来たんだけど?」 「は?…半兵衛様からの命か」 「そ。俺と家康で四国までお使いにね」 俺がそこまでいうと、三成は不満そうな顔をした。…俺と家康にだけ命令がされたから、かな? 「何故、私ではないのだ」 「そうだね、俺より三成の方が適任だろうにねえ」 「そうではない!!…そうではなく、」 妙に歯切れの悪いところで三成が俯いた。…ん?それなんのフラグ? 「何故貴様の隣にいるのが、私ではなく家康なのだッ!!…半兵衛様の命に不満を抱くわけではないが…」 「ふぅん?三成ったら、焼き餅かな?」 「なっ…調子に乗るな!!! 」 顔を真っ赤にして否定する三成、あぁもうわかり易くて可愛いなぁなんて思っちゃいますよね、思うよね普通。ていうか俺の隣にいたいんですか?なんてちょっと調子に乗ってもいいところだよね、なーんて。 「まぁ、半兵衛様の命だしそういうことだからさ。当分離れるけどよろしく頼むよ?」 「別に、貴様が居ようと居まいと変わりはない」 三成はつーんとそっぽを向き、拗ねてしまったようだ。…素直なんだか素直じゃないんだか。 それ以上話すことも無かったので、まだ晩を続けるという三成におやすみを言って、先に休むことにした。
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