一陣、豊臣

4/8
56人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
「おかえり、3人とも」 自陣に帰ると、儚い笑顔の人が迎えてくれた。紫色のマスクにふわふわとした髪…ゲームのそれと何一つ変わらない、竹中半兵衛だ。 「ただいま戻りました、半兵衛様!!」 「うん、お疲れ様。どうだった?」 「半兵衛様のおっしゃる通り、敵将を討ち取って参りました!!」 「家康が、ね」 「大和!!水を指すな!!」 ぽつりと呟くと聞こえていたようで三成に睨まれた。…だって本当のことだし。 「元はと言えば貴様のせいだろう!!貴様が倒れなどしなければ…!!」 「…それは、ごめん」 「三成、そう大和を責めるなよ。大和だって頑張ってくれてるんだ」 「甘やかすなと言っている!!」 …上司の前でも変わらないんだなぁ、2人は。半兵衛苦笑いだよ? 「いいんだよ、三成君。大和君は書類整備とかの方が得意なんだ。適材適所、だよ」 「しかし…!!」 「まあ確かに、自分の身を守れるくらいにはなった方がいいかもしれないね。…君もそう思うだろう?」 そう言って半兵衛は振り返った。…そこに居たのは 「ね、秀吉」 「…力は全てだ」 「だって、大和君。ま、おいおい頑張ろうね」 「…はい」 豊臣秀吉。三成と家康…と一応俺が仕える男。ゲームでは感じられない、圧倒的な威圧感がとても強い。 「秀吉様!!!私に大和を鍛える許可を…!!!」 「…うむ。いいだろう」 「有難うございます!!!」 声を掛けられ、嬉しそうな三成。やっぱり秀吉の事が大好きなんだなぁ…。 「じゃ、そろそろ戻ろうか」 「お伴いたします!!!」 「うん、頼んだよ」 す、と歩き出す半兵衛に秀吉、三成が続く。それに家康も続いていった。 「どうしたんだ、大和?帰ろう」 「う、うん」 帰る、か。俺にはピンと来ないけど…まあとやかく言ってもしょうがないな。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!