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その日は、快晴だった。
空には、雲ひとつなく真っ青な青が広がる。
夏間近な空気が漂い、昼すぎではあるが、まだ、高くのぼった太陽がジリジリとコンクリートを焦がす。
屋外には人々の姿はほとんど無く、人通りの多い場所ですら、外気の暑さから逃れようと、ある人は足早に建物に避難し、また、ある人は木陰のベンチに座って汗を拭き、元気なちびっ子達は、半袖半ズボンのちょっと早い夏真っ盛りな服装で、はしゃいでいる。
そんな夏間近な昼下がりの平日、ごくふつうの日だった。
「やっぱり、暑いな、今日は」
見上げた太陽が眩しくて、手をかざし、目を細めた。
手の指と指の間からこぼれる光にさらに目を細める。
何故手をかざしたのか何故、太陽を見上げたのか、自分でも良くわからなかった。
わざわざ立ち止まったのかも。
横にいる友人の声がぼんやりと響いてくる。
その時、いきなり影がさしたのだった。
影がさしたといっても、不吉なことが起こったとかの文法的なものではない。
事実上、影が覆ったのだ。太陽が照らしているはずの街は、一時、薄暗い闇に包まれた。
「なに、あれ?」
呆然とした顏で隣にいた友人は、上を見上げた。
僕は細めていた目を見開いた。
一言
「わからないけど…」
一度きってもう一言
「やばいやつかも。」
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