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ー死ぬのか。てか早くそれ言えよー
ー話を最後まで、聞かないやつが悪い。
しかも、みろ後ろ。ー
後ろを見ると、だいぶ、破壊されているようだった。
織斗の背筋を冷たいものが流れる。
それを感じたように安心しろと声が頭に聞こえてきた。
ー織斗の視点からは、生きた人間はいなかったから、さっきので、死んだ人間はいないだろう。ー
励ますような口調と、その事実に織斗は、胸をなでおろした。が、
生きた人間はいないというのはおそらく、屍体はあったということだろう。
ー織斗、あいつの身体からは、おそらく人にとって有害な物質が作られている。お前は私といるから大丈夫だが、おそらくここ一帯に人がいないのはー
「大丈夫だ。もう何も言わなくて良い。」
織斗はぐっと唇を噛む。
ー織斗、これ以上犠牲を出したくなければ、大雑把な戦い方は、だめだ。ー
ー分かった。ー
イタチには織斗の決意が感じ取れた。
若いが、若い故に伸びが期待できる。
揺らぎ、すぐに折れそうな心、
不完全で危なかっしいその姿に、イタチは、海辺で男に言われたことを思い出した。
ちゃんと守れよ。
ーああ、守るさ。織斗は私が守る。ー
だがこれは織斗には伝えなかった。別に伝えることはないだろう。
ー行くぞー
織斗の言葉に、
ー分かったー
と返事を返した。
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