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土曜の夜は、トランペットを吹く。
地下鉄で、ほんの15分程度の距離を、黒いケースに入れた、金色のトランペットを持って行く。
もうすぐコンクールがあるから、合奏よりも、コンクールメンバーだけで練習する事が増えていた。
合奏の壮大な音もいいけれど、コンクールの、金管八重奏。
これも、ぞくぞくするほどに、心地よい。
ピッチが合えば、の話だが。
「蜜!この前、オレんちにマッピ忘れた?」
「え?この前?」
マッピ?
そういえば、愛用のマッピ…吹く所の部品は、あるけど、予備がなくなっていた気がする。
「そ、かも知れないけど…私、遼んち、行ったっけ?」
行ったかな…?
行ったかも…?
なんで行ったんだっけ?
「この前、飲み行ったじゃん、みんなで。で、うち泊まった時だよ」
ああ!
行った行った。
みんなで終電逃して、泊めてもらった。
…ような、気がするから、きっとそうだろう。
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