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気持は憂鬱でも学校には行かねばなるまい。それが社会の掟なのだ。
いつものようにのんびりと登校していると、突然後ろから声を掛けられた。
「姉ちゃんまだこんなところにいたのかよ」
「うわっ、びっくりした!あれ大成(たいせい)どうしているの? わたしの方が一本早い電車に乗ったのに」
「姉ちゃんの歩くスピードが遅すぎるんだよ。ったく、そんなのんびりしてっから魔法もろくに使えないんだよ」
「のんびりしてることと、魔法が使えないのは関係ないだろ。弟のくせに生意気な」
「その弟に負けてるのはどこの誰だよ」
悔しいが言い返せない。この生意気なやろうは矢島大成といって、わたしの弟だ。この弟はわたしと違って成績優秀、スポーツ万能で野球部に所属している。魔法に関してもわたしより使えるものも多いし、全てにおいて姉であるわたしを上回っている。
「そんなちんたらしてたら遅刻すっぞ。バカ姉貴」
「誰がバカだ!このバカの弟が!」
言ってから、自分の返しがおかしかったことに気づく。うっかり自分でバカを認めてしまった。昔は可愛かった弟も思春期になり変わってしまったみたいだ。姉としてはそれはすこし寂しいな。
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