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「佐藤さんはアルバイトはここが初めてですか?」
野地さんの透き通った声が、狭く薄暗いこの事務所に通った。
「はい、高校1年生なのでバイトは初めてです!」
「そっかぁ~、学校に行きながらアルバイトするなんて偉いですね~。」
私が学生の頃は勉強もしないで遊んでばっかりだったよ~、なんてキレイな顔を少し歪めて笑う野地さん。
私がバイトを始めた理由は、社会貢献という体で趣味のバンド活動に使うお金を貯めるため。
軽い気持ちではじめたため少しばかり緊張してしまい、「偉くなんてないですよ」と小声でしか返せなかった。
家から近く、昔からよく利用していたコンビニなので面接にはすんなり通った。
野地さんとも昔から通っていたコンビニなので、顔見知りではあった。
しかし、いざ働くことになると、とても緊張してしまう。
「では今日はレジ打ち練習をしましょうか。」
野地さんの柔らかい声が、私の緊張をほぐすように暗い事務所を包み込んだ。
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