冴えない前書き

2/3
前へ
/143ページ
次へ
物語の冒頭文といえば、大概が“設定”を印象づけるために何かと説明文になりがちだ。 例えば勇者が活躍する王道ファンタジーを用いていえば、必ずと言っていいほど彼のいる世界は魔王に支配されている。 それでもって、イベントを何回か転がしていくにつれて、いかにもわざとらしい展開で仲間が集まっていき、おまけとばかりに勇者しか抜けない剣もでたりする。 結果も極めて単純明快。 勇者が魔王を倒すか封印するかで、終了。 俗に言うハッピーエンドとなる。 しかし、この物語にはそういったハッピーエンドは絶対にない。 最終的につきつけられる結論として、それだけは言っておこう。 とはいえ、そんな結論だけ言われたところで物語に入り込めるわけもないだろう。 そもそも、そんなものは小説として成り立っていないし、何より読書の際に生じる関心とやらが沸き立つこともないだろう。 そういうわけで、ある程度省略した僕の説明を聞いてほしい。 こればかりは、どう配慮しても教科書よろしくな説明文になりがちなのだが、ある程度は我慢してほしい。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加