第1霊:あぁ、儚き蝉時雨

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という、どこぞの国語の教科書に書いてありそうなことを言い訳にして僕はベッドに横たわっていた。 まだ夏休みは長い。あと、何週間もある。 最初の2日間で、現代文と英語は終わっているし後はノンビリだらだらとやっていけば十分間に合う。 僕はそんなことを頭で考えつつ、充電器がさしっぱなしのスマートフォンを手に取る。 なんとなく電源をいれてみると、左上の方に充電終了の旨を伝えるマークと、数件の受信メールがきたことを知らせるマークの2つが小さく表示されていることに気付かされる。 どうやら、勉強に集中しすぎたがあまり着信音にも気がつかなかったようだ。 僕は素直にスマートフォンから充電器を抜き取り、未読のメールを開く。 受信メールは3件。 1つは携帯会社からの新サービスをしらせるメール。 次は登録したサイトからの定期メール。 次は鈴梨 仄(すずなし ほのか)からのメールだった。 「鈴梨からだ……」 僕は呑気にそう呟いてからメールの文面に目を通す。 そこに記されていたものを見て、僕はあからさまにため息をつく。 そこには、こう記されていた。 出だしは、いつもと変わらない『今何してるの?暇なら………』から始まる。
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